研究概要 |
1.1984年より開始した上皮性進行卵巣癌40例(III期21例,IV期10例,再発例9例)に対する自家骨髄移植法併用大量化学療法(cyclophosphamide+doxorubicin+cisplatin)の治療成績を5年生存率でみると,III期:59.2%,IV期:40.0%,再発例:22.3%となった。 2.1991年より開始したcarboplatin+cyclophosphamideによる自家骨髄移植と顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)併用による大量化学療法での進行卵巣癌16例(III期8例,IV期5例,再発例3例)での3年生存率は61.1%となった。 3.1993年より自家骨髄採取法に並行して開始した末梢血幹細胞採取法とで,採取された骨髄幹細胞の数をcolony forming unit granulocyte macrophage(CFU-GM)数で比較すると,前者では0.34±0.31×10^5,後者では2.5±2.1×10^5と,前者に比し後者では約7倍量もの造血幹細胞の採取が可能であった。これらを移植しての大量化学療法では,末梢血幹細胞移植群ではよりすみやかな骨髄機能の回復がみられた。すなわち,白血球数が1000/μl,3000/μl以上に迄回復するのに要する日数は後者の方がそれぞれ4日,5日早くなり,血小板輸血回数も自家骨髄移植群で平均10.1回に比し,末梢血幹細胞移植群では5.8回で,本療法を行うことにより大量化学療法をより安全に行えることが判明した。
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