研究概要 |
結果: 1.in vivoにおけるendothelin‐1(ET‐1)の早産誘発作用の検討:妊娠18日齢のラットに昇圧作用を惹起する濃度のET‐1の腹腔内投与を行ない、早産の有無、ならびにET‐1投与後のラット血漿progesterone,20a dihydroprogesteroneをPIAにより測定した。ET‐1投与により血漿progesterone,20a dihydroprogesteroneともに低下したが、早産誘発効果は認められなかった。また、ET‐A受容体拮抗剤投与による妊娠期間の延長も認められなかった。 2.in vitroにおけるET‐1のヒト胎盤培養絨毛細胞のステロイド産生に及ぼす影響:ヒト胎盤絨毛細胞培養系にET‐1を投与し、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG),progesterone産生を検討した。10^<-6>M〜10^<-12>MのET‐1添加では、培養上清中に放出されるhCG,progesterone量に変化は認められなかった。 考案: 1.ET‐1はラット妊娠モデルでは早産誘発作用は確認出来なかったが、血漿progesteroneを低下させたことから、in vivoにおいて黄体退縮作用を有することが明らかとなった。 2.ET‐1のヒト胎盤絨毛細胞の内分泌機能に及ぼす影響については、投与した濃度範囲では影響は認められないことから、ET‐1は胎盤絨毛よりは脱落膜、子宮筋に対する作用によって子宮収縮を惹起し、早産に関与する可能性が示唆された。 早産胎盤の免疫組織化学染色、in situ hybridization法によるET‐1局在の検討については、至適抗体濃度、ET‐1のプローブのラベリング法についての検討を行なっている。
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