研究概要 |
内耳におけるglutamate receptorの分布に関して蛋白レベル、遺伝子レベルで新しいsubtypeが存在することが明らかになった。また今年度は種々のレセプターの電子顕微鏡レベルの局在に関し、低温包埋を用いた方法を確立できた。 (1) AMPA type glutamate receptor 前庭神経節およびラセン神経節にAMPA type receptorであるGluR2,3,4が分布することが明らかになった。さらにGluR2,3,4mRNAも発現しておりAMPA typeのreceptorが内耳の神経伝達に関与していることが遺伝子レベルでも確認された。post-embedding法を用いた電子顕微鏡的アプローチによりGluR2,3,4がシナプス後膜に分布することが明らかになった。 (2) NMDA receptor 前庭神経節およびラセン神経節にNMDA receptor 1の他、NMDAR2A/Bが分布することが明らかとなった。すなわち、前庭神経節およびラセン神経節にはNMDA typeとAMPA typeのglutamate receptorが共存していることが示唆された。 (3) metabotropic type glutamate receptor 前庭暗細胞、蝸牛limbusにmGluR1が、外有毛細胞にmGluR5が局在していることが明かとなった。神経系以外にもglutamate receptorが存在し細胞間の情報交換に関与している可能性が示唆された。
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