| 研究概要 |
1.内リンパ嚢内に、S化静脈洞を経由して、交感神経及びCGRP陽性神経の分布があることを明らかにした。これら組織は、蝸牛あるいは前庭に分布する交感神経、遠心神経とは無関係であり、内リンパ嚢の主として遠位部と中間部に分布し、近位部まで1部の線維が観察されたが、内リンパ嚢には線維の分布はなかった。電子顕微鏡レベルでは、線維は、血管周囲と、上皮下組織にみられ、特にCGRP陽性線維については、上皮内への侵入も観察された。
2.内リンパ嚢上皮に対する7種のモノクローナル抗体の作製に成功した。5種はマウスIgG、1種はマウスIgG_<2b>、1つはIgMでMW74,400、37,000、12,400、24,800、37,200、49,600にウェスタンブロッティングに於いてバントが提案された。他臓器との多反応では腎・肺・胆のうに対して、提案された。免疫組織により、内リンパ嚢遠位部と中間部に反応がみられ、電顕レベルでは明細胞、暗細胞の内腔面と側面に陽性所見が見か得られた。
3.以上の結果より、カテコールアミン静注に伴い観察された内リンパ嚢内電位の変化が、内リンパ嚢内に分布する交感神経を介することが想像サレ、かねてより指摘された、内リンパ水腫を交感神経の関係についての1つの手がかりが得られた。又、内リンパ嚢上皮に対するモノクローナル抗体が腎近位尿細管上皮と交叉反応を示した点は、内リンパ嚢の吸収能の解析にむけて、有用な実験手段が得られたといえる。
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