研究課題/領域番号 |
05671427
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内藤 泰 京都大学, 医学部, 講師 (70217628)
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研究分担者 |
辻 純 京都大学, 医学部, 助手 (30252448)
伊藤 寿一 大津赤十字病院, 耳鼻科, 部長
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キーワード | 耳石 / 前庭神経 / 求心神経 / 遠心神経 / 卵形嚢 / 球形嚢 / 脳幹 |
研究概要 |
本年度も引続き耳石系の形態と機能につき基礎研究を動物を用いて行った。また、この研究の臨床応用への発展につなげるべく耳石系神経の温度刺激への反応と、遠心路切断の内耳機能への影響も検討した。 チンチラを用いた形態学的研究において神経標識物質としてbiocytinを使用し、前庭感覚上皮を局部的に損傷すると該当部分を支配する前庭神経の遠心路神経と求心路神経が同時に標識される事が明らかになった。この方法で耳石(球形嚢)と半規管(外側半規管)を各々支配する前庭神経を観察すると、一次求心神経の投射だけでなく遠心神経の細胞体も脳幹内で固有の分布を呈しておりそれぞれ個別の機能を有する可能性が示唆された。 モルモットを用いた耳石系一次求心神経機能に関する研究では、卵形嚢を支配する神経について詳細な検討を行った。その結果、モルモット卵形嚢神経はstriola周辺のI型有毛細胞に接続するものと、卵形嚢班全体のI及びII型有毛細胞に分枝して接続するものが見られた。前者は感度の高い不規則発火型神経に、後者は感度の低い規則発火型神経に対応し、形態の異なる神経が機能分担する事が示唆された。同側傾斜で発火の増加する神経は反対側傾斜型より多く。この傾向は規則発火型神経にのみ見られた。規則発火型神経機能のこの様な偏りは前庭機能障害時の姿勢偏倚にも一定の役割を果しているものと考えられた。 耳石支配の前庭一次神経の温度刺激に対する反応をモルモットで観察すると耳石系の86%の神経が温度刺激に反応し、このうち不規則発火型神経の方がより鋭敏に温度刺激にも反応する傾向が見られた。また同側傾斜で発火が増加する神経は温刺激で発火が増加、対側刺激で増加する神経は冷刺激で増加する傾向があった。今回の実験により温度刺激検査は半規管だけでなく耳石機能も反映している事が明らかになった。 前庭機能異常に対して前庭神経切断術を行うと蝸牛への遠心路も切断される。今回の研究ではヒトにおいて蝸牛の能動的機能を反映するDP-OAEが反対側の音刺激で抑圧される事、この抑圧が前庭神経の切断によって消失する事を示し、ヒト内耳の能動機能が遠心線維によって抑圧されることを明らかにした。
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