研究課題/領域番号 |
05671432
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
中谷 宏章 高知医科大学, 医学部, 講師 (60172334)
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研究分担者 |
岩井 満 高知医科大学, 医学部, 助手 (10223364)
三浦 隆男 高知医科大学, 医学部, 助手 (60243838)
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キーワード | 逆行性顔面神経誘発電位 / ベル麻痺 / ハント症候群 / 生理的ブロック / 神経変性 / 顔面神経減荷術 |
研究概要 |
顔面神経麻痺の初期治療を適切に行うためには神経が変性する前に的確に障害度を診断する必要がある。逆行性顔面神経誘発電位は唯一側頭骨内の顔面神経機能を評価できる検査法であるが、検出が難しく臨床的には用いられていなかった。我々は従来試みられてきた記録法に改良を加え、本反応の記録に成功した。我々の方法を用いて正常例及び末梢性顔面神経麻痺症例に記録を行い、多くの新知見を得た。 1.正常例における記録 (1)正常波形:動物実験で記録されると同様の3相性波形の記録に成功した。 (2)検出率:90.6%(58側/64側)と非常に高く、臨床検査として充分利用できることが分かった。 (3)左右差は比較的大きいが検査間の変化が小さく、臨床的には麻 痺側の反応の経時的変化で障害程度を判定する検査法であることが分かった。 2.麻痺例における記録 (1)波形:発症早期は正常の3相性波形はみられず、2相性、1相性、あるいは無反応を呈した。 (2)ベル麻痺及びハント症候群では発症直後はすべて2相性波形(記録部より中枢側に初期病変がある)を示した。 (3)経時的な観察から、生理的ブロック例は2相性波形が維持されるが、神経変性例では2相性波形が1相性、無反応へと悪化した。 (4)従来の機能検査(NET,ENoG)より早期に障害程度診断が可能であった。 (5)本検査を基に重症例に早期の減荷術を行うと神経変性の進行防止が可能である。
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