側頭骨内顔面神経絞扼麻痺の早期診断と治療に関する研究

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05671433
• 研究機関: 高知医科大学
• 研究代表者: 斎藤 春雄 高知医科大学, 医学部, 教授 (20026917)
• 研究分担者: 中平 光彦 高知医科大学, 医学部, 助手 (10253353) ; 中谷 宏章 高知医科大学, 医学部, 助手 (60172334)
• キーワード: 顔面神経 / 磁気刺激 / 逆行性誘発電位 / 神経減荷術 / 早期診断 / 障害部位診断 / 絞扼麻痺 / 側頭骨

研究概要

我々の動物実験で、顔面神経が障害を受けた初期では、その部位だけを減荷すればよいことが分かっている。早期に障害部位診断と病変の進行診断が出来る検査方法の確立が急務である。従来の顔面神経障害電気診断法では、電流が障害部位を通過する方法をとっていなかったので、変性の早期診断と部位診断が出来なかった。
我々は、ともに刺激電流が障害部位を通過する順行性磁気刺激と逆行性顔面神経誘発電位を組み合わすことで早期診断の達成を図った。
本年度は、順行性磁気刺激で絞扼麻痺に至った時点が分かること、また、逆行性顔面神経誘発電位で障害部位の推定と絞扼麻痺に至った後の神経変性の進行の有無を検出出来るこを明らかにした。
特記したいことは、我々の行なった逆行性顔面神経誘発電位記録法の改善により、神経電位そのものを明瞭に記録できるようになったため、2相波の振幅減少を拠に神経変性の進行の有無が正確に分かるようになったことである。この所見を基に行なった早期顔面神経減荷術手術例の回復はたいへん早い。
今後、順行性磁気刺激と逆行性顔面神経誘発電位の組み合わせで行なった早期顔面神経減荷術手術例の病的共同運動の出現を追跡する必要がある。統計処理をして検討が出来るように症例を増やして行く予定である。
虚血性顔面神経麻痺モデルモルモットで逆行性顔面神経誘発電位を鼓膜輪から記録したところ、ベル麻痺、ハント麻痺臨床例と同様に2相性の波形を示した。これらの麻痺の初部位は膝状神経節近辺と推察できる結果である。

研究成果

• [文献書誌] 中谷宏章: "顔面神経磁気刺激検査-有用性についての検討-" 耳鼻咽喉科臨床. 86. 55-60 (1993)
• [文献書誌] 中谷宏章: "逆行性顔面神経誘発電位の臨床応用-記録法の検討-" 耳鼻咽喉科臨床. 86. 1697-1705 (1993)
• [文献書誌] 斎藤春雄: "顔面痙攣症---痙攣発作ヒストグラムによる評価---" 耳鼻咽喉科臨床. 87(3月発行予定). (1994)
• [文献書誌] Saito H: "Neonatal facial nerve defect" Acta Otolaryngol (Stockh) Suppl. 510. 77-81 (1994)
• [文献書誌] Saito H: "Vulneraillity of the facial nerve in entrapment palsy.-cmparative study of guinea pig with human." Eur Arch Otorhinolaryngol. 251(7月発行予定). (1994)
• [文献書誌] Nakatani H: "Antidromically evoked facial nerve response in human subjects:modification of recording techniques." Eur Arch Otorhinolaryngol. 251(7月発行予定). (1994)
• [文献書誌] Takeda T: "An animal model of ischemic facial palsy." Eur Arch Otorhinolaryngol. 251(7月発行予定). (1994)
• [文献書誌] Haji T: "Macrodissection study on peripheral facial nerve branches to Stennsen's duct." Eur Arch Otorhinolaryngol. 251(7月発行予定). (1994)