研究課題/領域番号 |
05671433
|
研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
齋藤 春雄 高知医科大学, 医学部, 教授 (20026917)
|
研究分担者 |
中平 光彦 高知医科大学, 医学部, 助手 (10253353)
中谷 宏章 高知医科大学, 医学部, 講師 (60172334)
|
キーワード | 顔面神経 / 顔面神経麻痺 / 顔面神経減荷術 / 逆行性顔面神経誘発電位 / グリセロール / 順行性磁気刺激 |
研究概要 |
我々のこれまでの研究により、障害を受けた顔面神経は5日までに変性膨化が最大となり、ベル麻痺に相当する障害では20%が顔面神経管内に絞扼されること、小児は成人に比し絞扼を受けにくいこと、障害初期には初発部位のみの顔面神経減荷で神経変性を防げることを明らかにしてきた。障害部位早期診断、早期治療開始が重要であることを示唆する結果である。これらの結果を踏まえて行った研究により、下記のごとき成果を得た。我々のつくった虚血性顔面神経麻痺動物モデルの絞扼後の顔面神経内血流は明らかに血流阻害を受ける組織像であった。逆行性顔面神経誘発電位波形は全て2相性から1相性に変化していった。循環障害を起こした顔面神経は再生に際しミエリンの横行など病的共同運動の原因と想像できる電顕像が見いだされた(業績未発表)。臨床例では経耳下腺管逆行性顔面神経誘発電位で2相性から1相性に移る絞扼直前状態をとらえることができ(論文1)、それを基に行った顔面神経減荷術の麻痺回復は良いこと(論文2)、グリセロール顔面神経内減荷術を行った例の麻痺の回復も良いこととを明らかにした(論文3)。また、顔面神経管内減荷術が最も奏効するのは、内耳道から膝状神経節までの間であることを示した(論文3)。小児では絞扼を受けにくいので顔面神経管内減荷術だけでも良い可能性も発表した(論文4)。さらに、減荷術が効を奏しない例も明らかにした(論文5)。絞扼部位顔面神経減荷術の臨床成績は逆行性顔面神経誘発電位判定による早期減荷術の結果を知るに足る症例数を得るために結果を出していない。早期手術の判定手段としての順行性磁気刺激は、現在市販されているコイルでは障害初発部位を断定し、経時変化を断定できるような潜時、刺激部位は人のような大きな対象でも不可能であった。(論文6)。
|