研究課題/領域番号 |
05671437
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
佃 守 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (70142370)
|
研究分担者 |
作本 美樹 横浜市立大学, 医学部, 助手 (30244461)
小勝 敏幸 横浜市立大学, 医学部, 助手 (70234721)
持松 いづみ 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10166332)
|
キーワード | 頭頸部癌 / 転移因子 / ICAM-1発現 / 血管新生 / basic FGF |
研究概要 |
頭頸部癌に対しても集学的治療が行われているが、いまだに予後が悪い。これは早期診断が難しいことにもよるが、癌の生物学的特性とくに転移に起因するところが大である。そこで、この領域ではまだ検討がなされていなかった接着因子の一つであるIntercellular adhesion molecule-i(ICAM-1)と腫瘍の血管新生に焦点をあわせ検索をすすめた。その結果当科で培養樹立化した14種類の頭頸部扁平上皮癌細胞ならびにKB細胞の合わせて15種類の培養細胞のうち8種類の細胞で明らかなICAM-1の発現が認められ、Interferon-gammaの処理でこのICAM-1の発現は著明に増強した。ICAM-1の発現とLAK細胞に対する感受性には相関生が観察され、ICAM-1の発現が増強するほど感受性が高かった。また抗ICAM-1抗体で処理することによって、LAK細胞または自己TII細胞に対する感受性は低下し、ICAM-1の発現が免疫認識機構に強く関わっていることが判明した。 一方、治療前生検材料から得られた頭頸部扁平上皮癌症例の標本を用いて、第VIII因子関連抗原に対するモノクローナル抗体で免疫組織染色し、原発腫瘍周辺の血管数を測定し、臨床のパラメーターとの相関性を検討した。その結果、原発部位、組織分化度、T分類とは一定の傾向は認められなかったが、血管数が多くなるほど所属リンパ節転移率が高くなり、また再発例に血管数が明らかに多かった。すなわち原発腫瘍部位の血管新生は腫瘍の転移、予後と関連することが示唆された。さらに血管新生促進因子であるbasic fibroblast growthfactor(bFGF)に注目し、12種類の頭頸部扁平上皮癌培養細胞の培養上清中のbFGFの産生をみたが全ての培養細胞で産生が確認され、また抗bFGF中和抗体で増殖が抑制される腫瘍細胞があった。 以上より、今回検討した因子は免疫認識機構、腫瘍増殖、転移に深く関わっており、現在これらの因子を調節する治療法について検討中である。
|