研究概要 |
真珠腫瘍性中耳炎の発生機を検討するために、ヒトの真珠腫より採取した試料からのサイトケラチン抽出のみならず、実験動物としてミニブタを対象として、外耳道皮膚、鼓膜、中耳粘膜のサイトケラチンを抽出し、生化学的ならびに免疫組織学的に分析した。その結果、軟骨部外耳道と骨部外耳道のバンドの比較で69kDのバンドの比率が骨部では極めて少ないデータが得られた。さらに、Western ブロッティングでは、抗ヒトCK1,10/11抗体と56,53.5kDのサイトケラチンが交叉反応を示し、免疫染色では軟骨部表皮でより強い染色を示した。以上の実験から、外耳道皮膚、鼓膜、中耳粘膜のサイトラケチンの構成成分は類似しており、角化した上皮ほど大きい分子量のサイトケラチンが主体となり、軟骨部は骨部に比べてより角化した表皮であると結論された。また、ミニブタのサイドケラチンが抗ヒトサイトケラチン抗体と交叉反応を呈することが証明され、真珠腫性中耳炎の実験動物としての可能性が示唆された。明年度からは、今年度に採取したヒト真珠腫性中耳炎の真珠腫マトリックス内のG-COF,M-CSFの定量を実施する予定である。また、ミニブタを用いて、中耳内にG-CSF,M-CSFを注入した後の中耳粘膜の組織学的変化を検討する。さらに、鼓膜の培養を施行し、培養細胞にG-CSF,M-COFを投与した際の細胞変化の検討を考慮している。
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