鼻粘膜上皮細胞が産生するサイトカインの役割

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05671448
• 研究機関: 日本医科大学
• 研究代表者: 大久保 公裕 日本医科大学, 医学部, 講師 (10213654)
• 研究分担者: 滝沢 竜太 日本医科大学, 医学部, 助手 ; 横島 一彦 日本医科大学, 医学部, 助手 (90260976)
• キーワード: -

研究概要

我々は既に鼻粘膜上皮細胞培養上清中にサイトカインのIL-6、IL-8、GM-CSF、TNF-αが存在することを明らかにし、強力な血管収縮作用を持つペプチドであるエンドセリンが放出されていることを示した。これらのタンパクは物質は培養細胞数、培養期間に比例し、その産生量の増加を示した。この培養上皮細胞は上記のそれぞれのサイトカインとエンドセリンのmRNAを発現していることをRT-PCR法によって明かにし、さらにサイトカインはその発現がステロイド(フルチカゾン)によって減弱することを同じ方法によって明かにした。エンドセリンは血管内皮細胞にて産生されることは以前より知られていたが、今回のヒト鼻粘膜の培養上皮細胞がこの前駆物質であるプレプロエンドセリンを産生し、さらにこの上皮細胞からエンドセリンの形で放出されていることを示し、さらに培養ではないフレッシュな上皮細胞でもこのエンドセリンの発現を観察した。アレルギー鼻粘膜、慢性副鼻腔炎粘膜、正常鼻粘膜の上皮細胞ではアレルギー性鼻炎の鼻粘膜上皮細胞にその発現が多く認められ、アレルギー鼻粘膜上皮細胞でのエンドセリンがアレルギーと言う病態で何等かの役割を演じていることが示唆された。

研究成果

• [文献書誌] 大西正樹,滝沢竜太,大久保公裕,横島一彦,奥田稔,八木聡明: "Fluticason Propioncteの鼻粘膜上皮細胞からのGM-GSF、IL-6、IL-8差生抑制作用" アレルギー. 43(3). 441-447 (1994)
• [文献書誌] 大久保公裕,大西正樹,横島一彦,滝沢竜太,奥田稔,MA Kaliivr: "気道粘膜エンドセリンの分布と鼻粘膜上皮細胞のエンドセリン放出" アレルギー. 43(3). 448-457 (1994)
• [文献書誌] 大久保公裕,奥田稔: "神経ペプチド、分解酵素と鼻アレルギー" アレルギーの領域. 1(10). 34-42 (1994)
• [文献書誌] 大西正樹,横島一彦,大久保公裕,滝沢竜太,奥田稔,八木聡明: "杭GM-CSF抗体の鼻Inverted prpilioraの培養上清中のコロン-刺激活性への影響" 耳鼻免疫アレルギー. 12(1). 23-27 (1994)
• [文献書誌] 横島一彦,大西正樹,滝沢竜太,ルビーパワンカール,大久保公裕,奥田稔: "鼻Inverted Popillome腫瘍細胞のサイトカイン産生とその分布" 日本耳鼻咽喉科. 98. 66-70 (1995)
• [文献書誌] 大久保公裕,奥田稔: "鼻粘膜表層と鼻汁中のサイトカイン" 日本鼻科学会. 32(2). 151-152,(395)-(396) (1994)
• [文献書誌] 大久保公裕,横島一彦,池田雅一,滝沢竜太,R.Pawankar,奥田稔: "分担:鼻粘膜.鼻汁中のサイトカイン(病態生理とサイトカイン)" メディカルジャーナル誌 気直病態シンポジウム, 83 (1994)
• [文献書誌] 大西正樹,横島一彦: "分担:鼻粘膜上皮細胞と鼻アレルギー(アレルギー炎症性疾患.-新たなアプローチ-)" 先端医学者.(黒沢元博.宮地良樹編著), 577