研究概要 |
コルチ器支持細胞はギャップジャンクションを介して互いに情報を交換して有機的に働いていることが考えられている。また、そのギャップジャンクションはH^+およびCa^<2+>濃度により制御されている(Sato Y.,Santos-Sachii J.1991)。本研究では、コルチ器支持細胞を単離し、吸引電極により細胞膜との間にギガオームシールを作製しさらに、細胞膜を破りホールセルクランプを行い矩形波を用いて刺激した。薬物は、ピペットに充填して拡散により細胞内投与した。そして、capacity currentを測定して、そのtime constantを指標にコルチ器支持細胞間のギャップジャンクションの解離を観察した。 Caffeine5mMにてtime constantは最大0.46msecより0.36msecに低下したが、0.5mMでは変化は認めなかった。RyanodinelmuM以上でもtime constantの低下が観察された。これらの結果より、コルチ器支持細胞内よりCa^<2+>の放出が起こりギャップジャンクションを解離したものと思われる。 コルチ器支持細胞内を、高[H^+]にした場合のギャップジャンクションの変化は観察されたが、高[Ca^<2+>]ではピペット先端の凝集のため困難であった。しかし、細胞内Ca^<2+>放出を起こさせることにより高[Ca^<2+>]条件下の支持細胞間の結合を観察することが可能になった。今後、[Ca^<2+>]とコルチ器支持細胞ギャップジャンクションの聴覚にたいする役割を考察していきたい。
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