研究概要 |
コルチ器支持細胞はギャップジャンクションを介して互いに情報を交換して有機的に働いていることが考えられている。また、そのギャップジャンクションはH^+およびCa^<2+>濃度により制御されていることが報告されている(Sato,Y Santos-Sacchi J.1991,1994)。本研究では、細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させる薬物を直接細胞内投与してギャップジャンクションの変化を観察した。 蝸中よりコルチ器支持細胞を単離し、吸引電極によりホールセルクランプを行い矩形波を用いて刺激し、capacitive current測定した。試験用薬物は、ピペットに充満して拡散により細胞内投与した。平成5年度は、そのtime constantを指標にコルチ器支持細胞間のギャップ結合の解離を観察した。その結果1μM ryanodineおよび5mM caffeineによりtime constantの低下が認められた。しかし、time constantは膜抵抗と膜容量の積により規定され、ギャップジャンクションの解離を観察するには不都合なことが判った。そこで、平成6年度capacitive currentよりクーロン量を求め膜容量と膜抵抗を求めた。 Ryanodine 10^<-6>M-10^<-9>M濃度において約50%の例でコルチ器支持細胞ギャップジャンクションの解離が観察された。Caffeine5×10^<-3>Mにおいてコルチ器支持細胞ギャップジャンクションの解離が観察されたが、Caffeine5×10^<-3>Mにおいては認められなかった。これらの結果より、ryanodine,caffeineにより小胞体からCa^<2+>が放出されギャップジャンクションが解離したものと推測された。
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