研究概要 |
原田病特異抗原の候補と考えられている蛋白質のクローニングを行い、これを発現ベクターに導入し、大腸菌にて発現させた。この発現させた蛋白質を各種アジュバントと混和して、各種のマウス、ラットに注射した。しかしいずれの動物も原田病類似の症状を発症するものは無かった。これはMHCによる拘束が存在するためと考えられた。 次にこの蛋白質の解析では、この蛋白質は網膜色素上皮、脈絡膜、皮膚メラノサイトなどの色素を持つ細胞だけでなく他の細胞にも存在していることが、イムノブロッティングと免疫組織で推定された。上記の結果はNODマウスが糖尿病を発症する過程で一番最初に、臓器特異的ではないglutamic acid decarboxylaseに対して、T細胞の免疫寛容が崩壊し、その後carboxy peptidaseH,perpherin,heat shock protein 60などに次々と反応するようになり、最後に臓器特異的な抗原に対して反応するようになる過程と類似していると考えられ、興味のある結果が得られたと考えている。 このことから現在、他の臓器特異的ではない抗原についても検索を開始するとともに、最終的に原田病患者の細胞性免疫の標的となる臓器特異的な抗原の検索を行っている。この検索はすでに知られているメラノサイト特異的に発現しているthyrosinase,thyrosinase related protein c DNAの譲渡を受け、発現ベクターにて蛋白質を発現させ、患者リンパ球との反応を検索している。 又、メラノサイトの抗原を患者の発症からの期間ごとに検索し、抗原物質の変還も検索している。いづれも患者数が少なく、いまだ発表できる段階までは至っていない。
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