研究概要 |
1.前房水のアスコルビン酸の動態についての研究 前房水中には多量のアスコルビン酸(AsA)が含まれているのは種々の活性酸素の生成等の酸化ストレスに対して何らかの防御的役割をしているとみられているが,紫外線による白内障との関連についての研究は少ない.この研究ではまずこの点を明らかにする為に紫外線のUV-AとUV-Bを白色家兎眼に照射して,AsAの動態を調べた.UV-AとUV-Bの両者とも10分間の照射によって,6時間までには前房水のAsAの量に変動を認めなかった.しかし20時間ではA波,B波ともAsaの減少が見られ,B波でより著名な減少が見られた.この減少は照射後2週間まで進行して,3週間までその後は緩やかな増加がみられた.高濃度のAsAの房水中の存在は血液房水柵からの能動輸送からもたらされるが,紫外線による後期での長期間のAsAの減少は活性酸素に対する防御機能の低下を意味し,紫外線による白内障の形成に関与することが考えられた. 2.太陽光による血液房水柵破綻の研究 有色家兎眼に戸外で太陽光を照射した後,血液房水柵の破綻による炎症を微量な炎症を無侵襲で測定できるレーザ・フレアセルメーターにて測定した.太陽光の5分.10分,15分の照射によって,照射後30分,1時間において房水の炎症は照射時間に比例して,有意に上昇し,これは3〜4時間継続することが分かった.この現象は太陽光による白内障形成機序を考えるうえで,興味あると考えられた.
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