研究概要 |
1.実験的視細胞変性網膜、および遺伝性視細胞変性網膜における複合糖質異常の解析:正常視細胞の発達、および視細胞変性の進行過程における3種類のsialyltransferase、およびペリフェリン遺伝子の発現の変化について、in situ hybridization組織化学的に解析した。シアル酸を含有するN-グリコシド結合型の複合糖質は、視細胞の変性に先行、あるいは並行して減少するのに対し、O-グリコシド結合型の複合糖質は正常網膜においても生後早期の一定時期に合成された後は、turn overされないことが判明した。前者の遺伝子異常では視細胞変性がおこるのに対し、後者の遺伝子異常では網膜形成不全がおこることが示唆された。 2.リボソーム形態と遺伝子発現の関係の解明:視細胞変性過程、および明・暗順応状態における視細胞内節部リボソームの形態を、電子顕微鏡的に検索するとともに、それに対応するペリフェリン遺伝子発現をin situ hybridization組織化学的に検索、比較検討した。活性型のリボソームは均一に分散した分布形態をとるのに対し、不活性型のリボソームはまず集簇し、次に不規則に分散する分布形態をとることを明らかにした。 3.遺伝子ターゲッティング法を用いた解析:ラットのα2,6-sialyltransferaseのcDNAのBam H1-Bg1 II断片をプローブとして用い、マウスのゲノムライブラリーから、マウスのα2,6-sialyltransferaseのゲノムDNAクローンを2個分離した。さらにサブクローニングを行い、これらのクローンの塩基配列を決定した。 4.ヒト網膜色素変性症患者における複合糖質異常の解析:網膜色素変性症患者の末梢血DNAを検索試料として、α2,6-sialyltransferaseの酵素触媒領域をコードするexon6の翻訳領域の突然変異の有無について、PCR-heteroduplex法を用いて解析した。1995年2月までに検索した患者においては、変異は検出されなかった。
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