研究概要 |
遺伝性網脈絡膜疾患の病因解明の手段として、原因遺伝子を直接解明していく方法がある。我々は網膜特異的cDNAライブラリーを作成し、そこから未知の遺伝子のクローニングを試みた。網膜特異的cDNAライブラリーの作成には、ヒト網膜cDNAライブラリーおよびヒト脳cDNAライブラリーを用いてサブトラクテイブハイブリダイゼーションを行った。さらに、このライブラリーと脳cDNAライブラリーをプローブとしてデイファレンシャルハイブリダイゼーションを行った。候補cDNA断片(平均長約1.1kb)を単離した後、異なる組織からなるmRNAに対してノーザンブロット法そして塩基配列決定法(数百bp)により未知のcDNAを選択していく。更に染色体上での位置をFISH法で決定する。これらの網膜特異的cDNAの全塩基配列を解析後、蛋白発現ベクターによりその蛋白を作成し、更に抗体を作成して網膜内での発現部位を決定する。これらの方法により26個の候補cDNAを選択した。その内6個の染色体マッピングした結果、染色体1番,2番,5番,12番,17番,22番であった。その内1つの候補cDNAに関して、網膜内での発現部位、遺伝子構造まで明らかにした。現在、他の5つの候補cDNAの解析および残りの候補cDNAの染色体マッピングを進めている。網膜に特異的に発現している未知の遺伝子をクローニングすることで、染色体上での位置、網膜組織内での発現部位が明らかとなる。連鎖解析による遺伝性網脈絡膜疾患の染色体マッピングのデータを併用して遺伝性網脈絡膜疾患の原因遺伝子を明らかにしていく上で、本方法は有力な手段となろう。
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