研究概要 |
この研究は、水晶体の混濁化に伴うタンパク質-ジスルヒド結合(PSSG)の形成を知るために計画された。遺伝性白内障ラット(ICR/f)水晶体に混濁過程における^<14>C-cystine,^3H-leucine、^<14>C-glycine、^<35>S-methionineの取り込みをウィスター系ラット水晶体を対照に検討した。ジスルヒド結合を有する^<14>C-cystineの取り込みのみが、肉眼的に白内障の認められる16週齢からICR/fラット水晶体で増加したこの取り込み増加は、水不溶性タンパク質(WIP)に認められた。2-メルカプトエタノール、ジチオスレトール、及び還元性グルタチオンによって取り込まれた^<14>C-cystineが遊離した。 以上の結果からジスルヒド化合物であるcystineの水晶体タンパク質S-Sへの結合が示唆された。 ストレプトゾトシン投与糖尿病性ラット水晶体において混濁のみられる水晶体では、^<14>C-cystineの取り込みが水不溶性タンパク質により多く取り込まれるが、混濁のみられない水晶体では認められない。 培養液にマレイン酸ジエチルを加え水晶体を培養して誘導した白内障では、このような結果は認められなかった。 このような結果から水晶体タンパク質PSS^-やチオラートアニオンRS^-の生成はin vitro白内障のような短時間では形成されず、老人性白内障のように長時間に渡り形成されることが考えられた。
|