1)PCR法を用いたサイトカイン発現の検索 ブラッシュサイトロジーにより結膜から採取した細胞に対してRT-PCR法を用いてサイトカインの発現を検討した。シェ-グレン症候群では結膜上皮内IL-2 mRNAの発現が9例中5例(56%)とシェ-グレン症候群以外のドライアイ5例中1例(20%)に比べ高率に認められた。また、IL-6のmRNAの発現はシェ-グレン症候群では6例(67%)に認められたがシェ-グレン症候群以外のドライアイでは認められなかった。IFNγmRNAの発現はシェ-グレン症候群では9例中7例(78%)であったがシェ-グレン症候群以外のドライアイで5例中2例(40%)に認めた。正常コントロールではこれらのサイトカインの発現は見られなかった。 2)ELISA法を用いたサイトカイン発現の検索 喘息患者の血管から粘膜局所への炎症細胞の浸潤に重要な役割を演じているケモカインのRANTESが、アレルギー性結膜炎患者の涙液中にも存在するか否かをELISA法により測定した。 掻痒感、充血などの自覚症状、結膜乳頭増殖、眼分泌物内好酸球、血清中アレルゲン特異的抗IgE抗体からアレルギー性結膜炎と診断した10例を対象とした。このうち春季カタル4例、通年性アレルギー性結膜炎5例、季節性アレルギー性結膜炎1例であった。眼科的、全身的にアレルギー性疾患を認めない7例を正常コントロールとした。マイクロピペットを用い下結膜嚢内に貯留している涙液を採取しELISA法によりRANTESを測定した。 量的な問題から希釈率を設定したため、限界値を78.0pg/mlとした場合、アレルギー性結膜炎10例中7例(70%)に涙液中RANTESが陽性を示した(陽性症例平均値230.57±98.43pg/ml)。正常コントロールは全例陰性であった。アレルギー性結膜炎において結膜局所への好酸球、Tリンパ球の浸潤にRANTESが関与している可能性が示唆された。
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