胎児心電図を母親の腹壁から記録するために、母親の腹壁からの生体電気信号を高性能増幅器とシグナルプロセッサーで収録する。これより得られた電気信号は母親および胎児由来の心電図、筋電図および雑音を含むので、これらを分離する必要がある。 平成5年度、6年度は、(1)電極接触部位での抵抗の減らし方、(2)筋電図の少ない誘導およびフィルターの選択、(3)胎児の心電図と母体の心電図の分離方法、(4)双極誘導における誘導の選択、(5)単極誘導では両下肢の不関電極の差を電気的ゼロとしたリファレンスなどを検討した。その結果、(1)電極が胎児に接着していないために、電位が充分記録できない、(2)胎児が母体の中で大きく動きドリフトする、(3)母親の心電図が混入する、(4)母親の腹壁の呼吸運動および骨格筋の電気信号が雑音として影響する、(5)単に感度を上げただけでは筋電図、静電位、他の生体電位などがノイズとして顕著になり、胎児心電図との判別ができない、などの問題点が明らかになった。 これらの問題点を解決するためには、従来と異なる増幅方法が必要であり、フィルターの選択では雑音の分離が不十分である。 今後、さらに目的とする高感度胎児心電計を作製するために、新しい方法論を見い出すつもりである。
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