研究概要 |
サイトカイン存在下での細菌の増殖:A. actinomycetemcomitans(Y4),P. gingivalis(FDI 381)存在下での増殖の影響を継時的に平板培地上のコロニー数、ATPアッセイおよび〔^3H〕Thymidineの取り込み実験にて測定した。P.g.およびP.i.はいずれのIL-1添加においても顕著な差は認められなかった。一方、A.a.ではIL-1alphaに比較してIL-1betaがやや高い増殖促進効果を示した。IL-1betaの濃度の影響を検討した結果、100ng/ml添加の場合18時間で対照の約1.3倍、27時間培養で約2倍発育が促進された。18時間以前では促進効果は認められなかった。F.p.も同様にIL-1beta 100ng/ml添加で18時間培養したところ対照の1.6倍発育が亢進した。 細菌表層に存在するサイトカインレセプターの解析:上記結果からある種のサイトカインが歯周病原性細菌の発育に関与している可能性が示唆された為、^<125>I標識したIL-1alpha、IL-1beta、IL-6およびTNFalphaを用いて、サイトカインの菌体への結合性を検討した。その結果、供試した7菌属19菌種の中で強い結合性が認められたものは次の3菌属であった。供試した3株のA.a.(Y4,29522,29523)はIL-1alpha、IL-1betaおよびIL-6と結合し、その強さはIL-6>IL-1beta>IL-1alphaの順であった。また供試した4株のFusobacterium(F.nucleatum,F.periodonticum,F.simiae,F.mortiforum)はIL-1betaおよびIL-6に対し同程度の結合性を示した。IL-1betaおよびIL-6への結合性の強さはFusobacteriumに比べA.a.の方がやや強い値を示した。一方供試したP.gおよびP.i.の中で3株(P.g.W50,W83,P.i.25611)がIL-1alphaおよびIL-1betaと結合性を示したが、その結合性は顕著ではなかった。
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