臨床で多用されている歯科用インプラントの一種であるBonefitインプラント(ITI)を実験的にイヌ下顎骨に植立し、その後の周囲組織の修復・再生によるインプラントと骨の結合(接合)、すなわちOsseointegration達成までを、インプラント周囲の骨新生ならびに骨新生に寄与する新生血管網の経時的変化に注目して立体的に検索することにより臨床での裏付けを得る目的で本研究を行った。 今年度は最終年度にあたり、本研究の目的は一様達成され、多くの成果を得ることができた。その成果の一部は国内外の学会、学会誌などですでに発表した。現在、最終的な成果のまとめを欧米学会誌に投稿準備中である。 さらに7年度の研究計画で述べた抜歯窩、ならびにあからじめ抜歯をした歯槽骨の人工的欠損にGTR(又はGBR)法を応用し、人工的に歯槽頂の挙上あるいは厚径を増大させる実験を行った。術後3カ月まで経時的に検索し、大変良い結果を組織切片や軟X線撮影等で得られた。GTR法はインプラントを臨床で行うとき、インプラント周囲の骨を人工的に増大するための術式で、これを併用することによってインプラントの適応例いをより拡げることができる重要なテクニックである。その客観的データーを今後とも得る必要があると考える。 同時にインプラント植立後の軟組織、すなわち天然歯における歯肉との関係が大変重要であると述べた。血管鋳型法などを用いてインプラント界面部の新生歯肉の血管網について検索し、術後4週までの成績を得た。その結果、天然歯における付着上皮直下の血管網と基本的には同様の結果を得たが、細部ではかなり違った成績を得たので、今後とも詳細な検索が必要であると考える。
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