研究概要 |
口腔常在細菌の定着機構を解明するためにう蝕感受性に差がある2種の無菌(GF)近交系マウス(BALB/cA,C3H/HeN)を用いた実験を行なってきた. 通常飼育BALB/cAマウス口腔内で優勢な(Enterococcus faecalis,Staphylococcus xylosus)を混合接種したノートバイオート(GB)マウスを作成し,通常飼料(CE-2)と30%蔗糖含有飼料(D#2000)飼育群に分け,それぞれ別のアイソレーター内で5週間飼育した.実験終了時にマウスから唾液を採取後,屠殺し,口腔(歯および舌)と盲腸(腸管壁および内容物)から試料を採取した.その結果,腸管から分離される細菌数には系統差がなかったが,CE-2飼育群の口腔においてBALB/cAの歯から分離される菌数がE.faecalis,S.xylosusともにC3H/HeNより有意に多かった.一方,C3H/HeNでは歯以外の部位(歯および舌)でS.xylosusの菌数がBALB/cAより多く分離された.すなわち,BALB/cAでは歯に細菌が好んで定着し,C3H/HeNでは軟組織に定着しやすいことが示唆された(第28回日本無菌生物ノートバイオロジー学会で口頭発表). 現在,口腔内の細菌定着に関係する唾液成分の系統差をin vitroの系で検討中である.
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