研究概要 |
各種の条件下において生体内に出現する異物巨細胞の細胞性格について,同じく多核巨細胞である破骨細胞と比較した研究はほとんど行われていない.そこで,多核巨細胞の1つである異物巨細胞に着目し,これの組織発生を始め,免疫組織化学的,組織化学的,並びに電子顕微鏡的な諸性格について詳細に検索した.今年度は特に,ラットの背部皮下組織内に埋入した各種の異物に対して発現した異物巨細胞の細胞性格を各種のマーカーについて経時的・定量的に詳細な検索を行った.すなわち,SD系のラットの背部皮下組織内に各種の異物:ヒドロキシアパタイト,トリカルシウムフホスフェイト,牛骨焼成粉末,コレステリン等を埋入し,以後経時的に4週まで埋入部の組織を採取し,各種のマーカーについて検索した.その結果,とくに画像解析的な手法によって各種のマーカーの発現度について把握することが出来た.しかし,これらの巨細胞の微細構造について検索を進める予定であったが,これについてはデータを蓄積することが出来なかった.そこで,今後は特に微細構造について追究し,さらに今回の実験的研究から得られたデータを総合して異物巨細胞の細胞性格を明らかにするとともに,その成立機序などについても考察を進めたい.
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