骨の吸収は、破骨細胞によってなされるが、その形成は骨芽細胞の一種であるストローマ細胞によって制御されている。我々は、白血球の幹細胞を豊富に含んでいる脾臓の細胞をin vitro系で破骨細胞に分化させることのできるストローマ細胞をマウス骨髄より単離、クローニングし、この細胞と脾臓細胞の共存培養における細胞分化と接着分子の関係について検討した。 その結果、ストローマ細胞と脾臓細胞との共存培養下では7日間で多数の破骨細胞形成が認められるのに対し、LFA-1(CD11a/CD18)やICAM-1の抗体を添加すると、破骨細胞形成が有意に抑制された。さらに、動物種と抗体の種特異性を利用して、この作用点を検討した結果、ICAM-1は、ストローマ細胞と破骨細胞前駆細胞に発現しており、LFA-1は、前破骨細胞のみに発現していることが明かとなった。すなわち、LFA-1とICAM-1の接着形態は単にストローマ細胞と脾臓細胞との接着ばかりでなく、前破骨細胞同士の融合にも使われていることがわかった。しかし、この接着だけではすべての破骨細胞分化を説明することはできず、他の接着形態の可能性を検討した結果、細胞膜上のマンノース残基を用いた接着形態が融合に重要な役割を持っていることが明かとなった。そこで、次年度は、この接着形態についてさらに検討を加える。
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