今年度はラットの右側黒質にステレオタキシックに6-0hDAを5mug注入し、A9黒質ドーパミン(DA)細胞を選択的に化学的破壊した「片側パーキンソン病モデルラット」において歩行運動及び咀嚼運動の発現に対する大脳基底核、就中黒質線状体DA路の関与の様式を検討した。メタンフェタミン(MA)IP投与で回転運動を誘発後、時々刻々の動きをビデオに録画し、左右側上腕三頭筋、咬筋及び顎二腹筋からスリップリングコネクターを用いてEMGを記録し、同時に最高回転数を目測した。回転歩行に伴う上肢筋のリズミカルな筋活動は健常側から先に起こり、破壊側では常同行動性の著しい付随意運動が発現した。回転運動時の顎筋の両側性バースト活動に同期して下顎が一瞬下降するのが観察された。頸髄を切断したモデルラットを脳定位固定装置に固定後、人工呼吸下にMA投与すると、左右側咬筋及び顎二腹筋に完全に同期した持続の長いバースト活動が約1Hzの周期で発現した。正常咀嚼における開口筋と閉口筋の活動期の相反性は見られない。
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