研究課題/領域番号 |
05671563
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
篠原 光子 大阪歯科大学, 歯学部, 助教授 (40067187)
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研究分担者 |
尾形 圭五 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (30214000)
大浦 清 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (20131378)
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キーワード | 化学療法薬 / 白血球 / マクロファージ / ラット / 遊走能 / 貪食能 |
研究概要 |
感染に対する宿主の防御機構の解明について、多くの研究がなされ微生物の排除に対し多様な生体因子が関与していることがわかりつつある。感染症に罹患した場合臨床上、通常化学療法薬の投与を受けて治療される。化学療法薬が、生体防御の第一線で働く多形核白血球やマクロファージ(MΦ)にどのような影響を与えるかを調べることは、実際の炎症の場での化学療法薬の有効性を考える上で非常に重要である。今回は、化学療法薬のうちアンピシリン(ABPC)、セフォチアム(CTM)、セファレキシン(CEX)、テトラサイクリン(TC)、アミカシン(AMK)、クリンダマイシン(CLDM)およびブレオマイシン(BLM)の7種類を実験に供した。各薬物を、力価で1、10、100μg/mlとなるようにDMEMで調製して用い、MΦの遊走能、貪食能に与える影響について検討した。遊走能の測定は、48ウエルのケモタキシスチャンバーによるメンブレンフィルター法により行った。7種類の抗生物質は、濃度依存的にラットMΦの走化性を抑制した。またMΦの貪食能に与える影響について、対照および各種抗生物質について貪食率と貪食度との関係を調べた。貪食率と貪食度を合わせて貪食能とした。CTM、CEX、TC、AMK、CLDMおよびBLMはMΦの貪食率および貪食度を濃度依存的に抑制し、特に抗癌性抗生物質のBLMは、他の抗生物質よりも強い抑制を示した。ABPCは、濃度依存的にMΦの貪食率および貪食度を増加させた。本実験に用いたABPC、CTM、CEX、TC、AMK、CLDMは、臨床使用濃度では少なくともMΦの貪食能に影響を与えないと考えられる。しかし、抗癌性抗生物質のBLMは、臨床使用濃度ではMΦの貪食能を低下させることから、臨床で使用する際には患者の細菌感染に対する十分な注意が必要である。
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