| 研究概要 |
TGFβスーパーファミリーに属する因子、特にTGFβは、細胞の増殖と分化の調節、wound healing,骨のremodeling,そして造血過程等において、多くの重要な役割を果たしていると考えられている。なかでもその細胞増殖の抑制作用は、癌研究等の見地から、注目されている。筆者らはこれらの機構をより解明することを目的にこれらの因子のリセプターの単離をこころみた。TGFβtype2リセプターの内、保存度の高い配列をプローブとし2-3個のクローンを拾った。これからの解析が必要である。
また筆者らは増殖抑制の機構を解明する目的でhuman lung carcinoma株化細胞A549を用いてTGFβの作用を観察してきたが、TGFβ1処理によりA549細胞の形態が大きく変化し上皮細胞様細胞から伸張したフラットな線維芽細胞様細胞に変化することに気付いた。TGFβ1処理で細胞の形態が変化することは従来の報告にもあるが筆者らは形態変化と同時に軟寒天培地上でのコロニー形成能、増殖速度、細胞の飽和密度等の癌細胞特有の形質が低下もしくは喪失することを見いだし、TGFβ1による細胞形態変化と癌細胞特有の形質の喪失が関係していると考えた。
CHOK1細胞をcAMP誘導体で処理すると上記の場合と同じように、上皮細胞様から線維芽細胞様への形態変化と同時に、細胞のtransformed phenotypeが喪失することが知られ、reverse transformationもしくはredifferentiationと呼ばれている。筆者らはTGFβ1によるこれらの変化がreverse transformationもしくはredifferentiationと類似した現象であると提案している。さらにTGFβスーパーファミリーに属する色々な因子で同様の現象が起こるかどうかを調べ様々な結果を得た
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