研究概要 |
抗癌剤であるアドリアマイシンの逆行性軸索輸送の原利を利用して、下顎・三叉神経の末梢にアドリアマイシンを注入し、濃度や生存期間を変えて、三叉神経節、三叉神経主知覚核、三叉神経脊髄路核における変化を観察する実験を平成5年末より開始した。実験動物はラットで行なう予定であったが、頭部の形態が小さいことや、手枝に習熟していなかったこともあり、モルモット及びラットを平行して用いて実験を行なった。 まず、モルモットの下顎・三叉神経末梢に、1%アドリアマイシンを注入し、7日後、21日後にH&E染色標本を作成し、三叉神経及び脳幹部の三叉神経脊髄路核、三叉神経知覚株を観察した。三叉神経節の神経細胞体には、核の偏位や色質溶解などのいわゆるchromatolysisの変性像が認められた。次にアドリアマイシンの濃度を0.1%に変え、7日後、21日後の同部の三叉神経節の神経細胞を観察したが上述の所定のみとめられたものは、わずかであった。又いずれの条件下の三叉神経脊髄路核、三叉神経主知覚核の神経細胞体には対象側と比較し、特に変化は認められなかったが、今後は、同部におる軸索突起の変化を染色法を変えるなどして観察したいと思う。更に、注入部位を、歯血や歯髄に変化させ、同様の実験を行ない観察を行なう予定である。 また、オシロスコープを使用し、片側のオトガイ孔部の神経,歯髄,下顎〓〓部歯肉に電気刺激を加えてアドリアマイシン投与後の刺激変化を観察し、電気生理学的な研究も行なう予定である。
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