平成5年度に実施した視認能実験の結果と従来の数学的手法によるパノラマX線撮影法の断層域を比較検討したところ、以下の結果が得られた。 1)得られた視認能曲線から、視認能が60%であった被写体深さの幅をもって断層域とすると、全体的には、パノラマX線撮影装置Super Veraview(モリタ社製)の前歯部においては、観察対象によって異なるが、断層域の幅は、およそ7から10mmであった。 2)本学歯学部臨床生よりは、放射線科医のほうが断層域の幅が広い結果となったが、歯牙形態の歪みについては、逆に放射線科医のほうが許容範囲は狭い結果となった。 3)同じ条件で水平方向でのNeを計算したところ、Ne値が1.5lp/mmである点を限界とすると、Ne計算による同部の断層域は、フィルム面で約7mmとなり、心理物理学的つまり主観的断層域のほうが、幅広いことが分かった。
|