研究概要 |
本研究はBeetrode^<(R)>の微小電極および試作プローブによる歯周ポケット内pHを測定する方法で行った。歯石沈着度に対するpHの分布は、歯石の沈着が0,1,2と高くなるに従って、pHはやや上昇する傾向がみられたが(r=0.21)、統計学的には有意ではなかった。歯石沈着度が3になると、むしろpHは低下傾向がみられ、歯石沈着度と歯周ポケット内pHは有意の関連性は示されなかった。また4名の被検者で、ポケットの深さとpHの相関係数はほぼ0に近く、ポケット深さとpHの間には相関は全く見られなかった。ポケット深さ1,2,3mmのところではpHは5.8から7.8の広い範囲に分布していた。ポケット深さ4mmのところでは6.5から7.4の範囲に分布した。 5名の歯周病患者でのポケット深さとポケット内pHの関係は健常者とは異なり、直線性を示し、r=0.54であった。pHの範囲は6.4の弱酸性から9以上の強酸性までと、アルカリ側に分布しており、ポケットが深くなるに従って、pHも高くなることが示された。また患者5名について、唾液とポケットpHを比較したところ、いずれの患者でも唾液よりポケット内pHの方が高い値を有していた。 歯周ポケット内より採取したGCFから、ポリアミン分析を行った。検出の対象としたポリアミンの種類はカダベリン(Cad)とプトレッシン(Put)とした。CadおよびPutの両ポリアミンは唾液より有意にGCF中に多かった。唾液腺開口部より採取した純唾液中にはポリアミンは存在しないとされており、本結果の唾液中のポリアミンはポケットより漏出したこが示された。またCadよりPutの方が多いという結果も鈴木らの報告一致している。GCF中のポリアミン量とpHの関係は正の相関関係を示し、ポリアミン量が多くなるに従って、pHもアルカリ性になることが示された。 患者7人の唾液およびGCF中のALP活性はいずれの患者でも唾液よりGCF中のALP活性は高く、7人の平均は唾液で203.1±160.5IU/1、GCFで533.2±273.1であった。
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