研究概要 |
超音波根管形成システムSolfy ZXを臨床で用いその,可能性を追及した.超音波根管形成システムの問題点は,(1)ledgeを形成しやすい,(2)ガッタパ-チャポイントで根管充填やすい形態に根管形成しにくい,などである.(1)のledge形成の問題は,弱いパワーで小刻みにハンドピ-スを上下動させれば回避することができる. (2)の問題は,加熱ガッタパ-チャ法による垂直加圧根管充填法によれば特に大きな問題とはならない.超音波根管形成によれば,通常の手指による根管形成では清掃できない複雑な根管奥のほうまで清掃できる可能性がある.将来,浸透性のよい象牙質に接着性のある材料で根管充填できるようになれば,(2)の問題点は解消する. そのときに,超音波根管形成システムの高い洗浄力が最大限に生かされることになる. その他,超音波根管形成システムは,根管長測定,(2)歯冠歯髄腔の清掃,(3)仮封剤の除去,(4)ポストコアーの除去,(5)みつかりにくい根管口の探索、(6)根管内破折器具の除去,(7)根管内のセメント,石灰化物の除去,(8)ガッタパ-チャの除去,など歯内療法の分野で有効かつ安全に用いることができることが明らかになった. 根管充填に関しても、側方加圧法により根管充填した後に超音波振動を加えれば根尖孔近くのガッタパ-チャを効果的に軟化することができ,根管充填への可能性も拡大した. 基礎的な実験は,平成7〜9年度の試験研究B「NT-fileとエンジンによる根管形成の自動化に関する研究」に移行した.こちらでは,電気的根管長測定しファイル先端の位置を常にモニターしながら根管形成できるコードレスのエンジンを開発した.また,このエンジンには,モーターに発生するトルクを監視しファイルの破折を避けるような機構を盛り込んだ. これらの両者の研究は,目的とするところは同一であるので,今後も並行して実験を進める所存である.
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