研究課題/領域番号 |
05671601
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
和泉 雄一 鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (60159803)
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研究分担者 |
浜田 義三 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (50253894)
久保 浩二 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (00234477)
瀬戸口 尚志 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (60206646)
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キーワード | 歯周病 / 好中球 / 細胞膜流動性 / 歯周病関連細菌 / 活性酸素産生 / 走化能 / 血管内皮細胞 |
研究概要 |
歯周病の発症と進行に生体因子のひとつとして好中球機能低下が密接に関与している。歯周病関連細菌によつて好中球の細胞膜が何らかの影響を受け、細胞膜流動性が変化した結果、機能低下が発現すると考えられる。そこで、私共は歯周病患者の好中球の細胞膜流動性を検討する研究の一貫として、好中球の機能低下が多くみられる糖尿病患者の歯周疾患に注目し、以上の研究を行なった。歯周疾患を持つ糖尿病患者20名と健常者15名の好中球について、1)ケミルミネッセンス法によりFMLPを刺激剤とした活性酸素産生能、2)Boyden法によるFMLPに対する走化能、3)TMA-DPHをプローブとした螢光偏光解消法による細胞膜流動性の測定を行なつたところ、糖尿病患者の好中球は健常者に比べ高い活性酸素産生が認められた。走化能、細胞膜流動性に関しては有為な差はみられなかつた。更に、歯周病関連細菌と考えられている、P.gingivalis,P.intemediaから温フェノール水法にてLPSを分離し、これらのLPSとE.cohi由来LPSを好中球に作用させ、活性酸素産生能に及ぼす影響を調べたところ、10mug/mlの濃度の各LPSで15分間前処理するといずれのLPSも活性酸素産生を上昇させる作用が認められ、糖尿病患者の方がその傾向が強かつた。また、歯周病関連細菌の起炎物質などの刺激が血管内皮細胞に働き血管透過性を亢進させたり、あるいは傷害することによつて歯肉組織中に血清成分や多くの好中球が浸潤するのではないかとの観点から、培養血管内皮細胞を用いて、A.viscosus T14Vの両親媒性物質(ACA)による細胞膜障害性について検討を行なつた。その結果、AcAは血管内皮細胞に対して膜障害性を示し、生体膜表層で膜流動性の低下を起こしていること、また、膜表面と膜表層においてradicalを発生させることなどから細胞膜機能に影響を及ぼしていることが明らかとなつた。
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