研究課題/領域番号 |
05671601
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
和泉 雄一 鹿児島大学, 歯学部, 助教授 (60159803)
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研究分担者 |
浜田 義三 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (50253894)
久保 浩二 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (00234477)
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キーワード | 歯周病 / 好中球 / 細胞膜流動性 / 細胞外小胞 / 活性酸素産生 |
研究概要 |
歯周病の発症と進行に生体因子のひとつとして好中球機能低下が密接に関与している。その成因として歯周病関連細菌によって好中球の細胞膜が何らかの影響を受け、細胞膜流動性が変化した結果、機能低下が発現すると考えられる。Porphyromonas gingivalisは歯周病関連細菌のひとつとして注目されている。その病原因子として莢膜、LPS、蛋白分解酵素、線毛、extracellular vesicles(ECV)が報告されている。特に、ECVは強い生物学的活性を持ち周囲組織に為害作用を及ぼす可能性が考えられる。これらの事から今回、P.gingivalisのECVに注目し、好中球の細胞膜流動性および細胞機能に及ぼす影響を検討した。P.gingivalis ATCC 33277を使用し、ECVを分離調整した。電顕観察、電気泳動によりECVの分離を確認後、好中球へ作用させることによって以下の測定を行った。1.FMLPを刺激剤としたcytochrome C 還元法による活性酸素産生能の測定、2.蛍光ビーズによる貪食能の測定、3.nitroxide radicalのラベル剤である5-SAL,16-SAL を用いたスピンラベル法による細胞膜流動性の測定。その結果、P.gingivalis ECVは濃度依存的に好中球の活性酸素産生を有意に(P<0.05)抑制し、同様に貪食能を抑制する傾向がみられた。更に、それは濃度依存的に好中球細胞膜表層(5-SAL)で膜流動性の低下を有意に(P<0.05)引き起こしたが、細胞膜深層(16-SAL)では膜流動性に影響を及ぼさなかった。これらの結果から、P.gingivalisのECVは好中球の細胞膜流動性および細胞機能に影響を及ぼしていることが明らかとなり、歯肉溝や歯周組織中に遊走した好中球の防御機構を抑制することにより、歯周病の発症と進行に関与している可能性が示唆された。今後は、確立された測定系のもとで重症歯周病患者好中球の細胞膜流動性および細胞機能を検討するつもりである。
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