研究概要 |
第1年目に当たる本年3月現在、1歯毎の歯肉溝洗浄による洗浄液中にサイトカインを検出できてないが、in vitroにおいて、歯周病関連菌Lipopolysaccharide(LPS)刺激により、歯周組織構成細胞のサイトカイン産生の増加等の結果が得られたので、報告する。 1.歯肉溝洗浄用装置の開発新たに洗浄液の流量をコントロールしながら、一定速度で、反復して、送出、回収する灌流ポンプを開発したため歯肉溝洗浄時の漏洩が少なくなった。1歯の歯肉溝を対象とした歯肉溝洗浄時には0.27ml/secの流量で最も漏洩が少なかった。測定の基礎になる非炎症時の歯肉溝滲出液量が微小のため、蛋白質濃度の測定も不能であった。 2.歯周病関連菌LPS刺激による多形核白血球内蛋白質の変動歯肉溝滲出液の主要な細胞成分である多形核白血球を歯周病関連菌(P.gingivalis,A.actinomycetemcomitans)のLPSで刺激し、多形核白血球内蛋白質の変動を蛋白質総量およびSDS-PAGE電気泳動法により検討した。その結果、すべての被験者の多形核白血球において、P.g.およびA.a.由来LPSの刺激により、多形核白血球内蛋白質総量が増加した。またSDS-PAGE電気泳動により、泳動パターンを比較したところ、P.g.およびA.a.由来LPSの刺激により80,75,60,40,30Kd付近のほぼ共通した分画に、パターンの増加と濃染部分が認められた。今後これらの分画の蛋白質を抽出し、その変化と歯周組織破壊との関連について検討する。 3.歯周病関連菌LPSのヒト歯肉腺維芽細胞のサイトカイン産生に及ぼす影響ヒト歯肉線維芽細胞の培養系を用いて、歯周病関連菌LPSで線維芽細胞を刺激した場合の、1L-1,1L-6の産生を測定した結果、P.g.のLPSで刺激したとき、培養上清度中の1L-6量が有意に増加した。
|