研究課題/領域番号 |
05671605
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
下島 孝裕 明海大学, 歯学部, 講師 (60146230)
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研究分担者 |
辰巳 順一 明海大学, 歯学部, 助手 (60227105)
栗原 徳善 明海大学, 歯学部, 講師 (10186512)
池田 克己 明海大学, 歯学部, 教授 (50049350)
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キーワード | リポ多糖体 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / GM-CSF |
研究概要 |
Lipopolisaccaride(LPS)はグラム陰性嫌気性桿菌の細胞表面に局在し、特有な毒性および生物活性作用を示すリポ多糖体である。また、LPSはin vitoおよびin vivoの実験系において破骨細胞などに働いて直接または間接的に歯周病の発症、進行に関与する可能性が示唆されている。本研究ではヒト骨芽細胞様細胞を用いてLPSの骨芽細胞を介した破骨細胞への作用について検討した。 実験には骨芽細胞の性格を有したヒト骨肉腫由来骨芽細胞様細胞株MG63を用いた。Escherichiacoli由来LPSを添加培養したMG63の培養上清を用いて破骨細胞の分化誘導能について検討した結果、培養上清33%添加時におい、有意に23C6(CD51)陽性の多核細胞(破骨細胞)の形成を促進した。そこで、このLPS刺激時にMG63の産生するサイトカインの検索を行うためにノーザンブロッテイングハイブリダイゼーションを行った。その結果、LPS刺激時にのみGM-CSFおよびIL-6の遺伝子発現がみられた。さらに、ELISA法によりその時の培養上清中のGM-CSFおよびIL-6の分泌も確認された。MG63にLPSを刺激したときに、はじめてGM-CSFの分泌が起こることから、破骨細胞の誘導にこのGM-CSFが重要な働きをしている可能性が示唆された。そこで、このLPS刺激MG63の培養上清中のGM-CSFが破骨細胞の形成に関与しているのかをCFU-GMコロニー形成能により検討を行った。その結果、LPS刺激MG63の培養上清は有意にGMコロニー数を増加させた。さらに、この効果は中和抗体(Anti-GM-CSF)により抑制されたことから、この培養上清中にはGM-CSFが含まれており、GMコロニーの形成能を有していることが確認できた。また、上述の破骨細胞の形成能促進作用についてもAnti-GM-CSFの同時添加培養したが破骨細胞の形成抑制が起こらないことからこの培養上清中にはGM-CSF以外のIL-6等の破骨細胞誘導能をもったサイトカインが存在している可能性も推察された。 さらにこの現象は正常組織中の骨芽細胞にみられるかどうかを歯槽骨由来の骨芽細胞でGM-CSFのcDNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーションを行った結果、LPS添加群においてGM-CSF遺伝子発現が観察できた。 以上の結果により、LPSは骨芽細胞にも作用して間接的にも破骨細胞を促進することが明らかかとなった。
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