研究概要 |
申請者は,供試材料として市販の光重合型レジンを選択し,ウシ下顎前歯象牙質にそれら製品付属の接着システムを用いて製造者指示にしたがって接着させた試片を製作した。そして,この試片に温熱的刺激(5℃→35℃→60℃を1サイクルとし,各温度の係留時間は1分間)を加えた後,接着強さの測定を行った。その結果,いずれの市販製品においてもサーマルサイクリングの負荷によって接着強さが低下する傾向が認められた。また,接着試片の破断面の観察では,サーマルサイクリングの負荷時間の増加にともなって,界面破壊例が増加する傾向を示した。今後,長期にわたるサーマルサイクリングの負荷による接着強さならびに破壊形式の変化について平成6年度も継続して検討を行う予定である。 一方,機械的刺激としてのメカニカルサイクリングの負荷条件の設定については,口腔内と同様な環境条件で連続的に機械的刺激を試料に負荷する機械の設定ならびに負荷条件について検討を行っている。 市販の光重合型レジンを用いて,口腔内で想定される熱的刺激による象牙質接着性の変化についての検討は順調に進めらている。しかし,メカニカルサイクルの負荷条件については,連続負荷荷重試験器の条件設定に時間を要しているが,平成6年度予定の実験の遂行には支障がないものと思われる。
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