研究概要 |
平成5年度においてはヒト歯根膜由来線維芽細胞(HPLF)、ヒト歯肉由来線維芽細胞(HGF)の確立とHPLF-CMの全分画の採取について計画しており、現時点で実現できている。同時に、HPLF.HGFのHPLF-CMに対する化学走化性能について検索し、以下のような結果を得ている。線維芽細胞に対するpositive controlとしてfibronectin(FN)を選択し、それの適性濃度を選択するために0.4,0.8,1.2,2.4,3.6mug/mlを比較し、1.2mug/mlに有意(p<0.05)に高い値を示した。以上の結果をもとに、全HPLF-CMに対する化学走化性試験においてはpositive controlとして1.2mug/mlのFNを選択し、negative controlとしてはMCDB107(serum free)を用いた。 その結果、全HPLF-CMに対しHPLFは45.8±12.7cells/HPF,HGFは45.7±6.1cells/HPFであり1.2mug/ml FN(15.4±1.4)と比較して約3倍もの高い値(p<0.001)であった。歯周組織由来線維芽細胞の化学走化性試験の確立、つまり、使用するpolycarbonate膜のpore size(8mum)の決定、およびpositive controlの選定を完了した。歯周外科処置後の結合組織性の再付着に重要と考えられるヒト歯根膜由来線維芽細胞(HPLF),ヒト歯肉由来線維芽細胞(HGF)の確立をし、両細胞のHPLF-CMに対する化学走化性能が示唆された。平成5年度の研究計画のうち、多形核白血球(PMN)のHPLF-CMに対する化学走化性能については検索中である。今後、他の歯周組織由来細胞である歯肉由来上皮細胞(HGE),ヒト歯槽骨由来細胞(HABC)を確立し、HPLF-CMに対する化学走化性について検討を加える。
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