研究課題/領域番号 |
05671625
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大川 周治 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (90144865)
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研究分担者 |
久保 隆靖 広島大学, 歯学部, 助手 (60240876)
津賀 一弘 広島大学, 歯学部, 助手 (60217289)
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キーワード | スルフォン床用材料 / デンチャーペリクル / 蛋白質電気泳動法 |
研究概要 |
近年、スルフォン床用材料の臨床応用が着実に進められているが、その汚染や着色に関してはほとんど明らかにされていない。このためスルフォン床義歯では、科学的裏付けが十分なされないままに従来のPMMA義歯と同様のデンチャープラークコントロールがなされているのが現状である。そこで、スルフォン床用材料に初期付着する口腔由来蛋白質の特性を理解することは、スルフォン床用材料に最も適したプラークコントロールを確立するうえで重要である。本研究では、蛋白質電気詠動法を応用してこの口腔由来初期付着蛋白質の電気詠動パターンを解析し、さらに付着蛋白質に対する各種蛋白分解酵素による除去効果を明らかにする目的で、以下の実験を行った。 1.ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリカーボネートの各種レジン試料片を、5mm×5mm×1mmの直方体に成形し、3名の被験者より採取した唾液中に1、3 6、時間浸積後、試料片を回収した。 2.各試料片をTris塩酸緩衝液中で超音波処理することにより、口腔由来の付着蛋白質を回収し、濃縮後、lamni bufferを加え、このbufferをsampleとする。SampleをSDS-PAGEに展開、銀染色を行い、その泳動パターンの分析を行った。 以上の結果、各試料片に付着した蛋白質の量は、経時的に増加したが、SDS-PAGEでの電気詠動パターンに差は認められず、付着蛋白質の除去についても差は認められなかった。すなわち、今回の分析方法では、デンチャーペリクルを構成する口腔由来蛋白質の初期の付着に関しては、スルフォン床用材料は、従来のPMMAと同様であることが示された。また、本研究の結果より、トリプシン、パパイン、プロナーゼ等の各種蛋白分解酵素あるいは、超音波洗浄等、機械的除去方法を用いて付着蛋白質の除去効果について検討していくことの有用性も明らかとなった。
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