研究概要 |
我々は顎関節雑音,6自由度顎運動ならびに外側翼突筋下頭筋電図の同時測定および解析を行うことにより顎関節雑音,とりわけクリッキングとその発生に大きく係わる顆頭運動との関係を一部ではあるが明らかにしている. 本研究初年度の平成5年においては,従来の顎機能診断システム,特に顎関節雑音の測定に関して細部にわたる改良を加えることにより,データ収集の操作を簡便にし,多数例に対応可能とすることにより病態が多様である顎関節雑音の分類を可能にする道を拓くとともに,以下に示すような研究活動を行った. 1.少数例についてではあるが,顎関節雑音について患者自信の主観的情報と術者による客観的情報を採取するとともに,改良した顎機能診断システムを用いて測定し,従来の解析方法に加えて顎関節雑音の音響学的特性についての解析パラメータを充実させ,顎関節雑音の診断に対する有用性を検討し整理した. 2.顎関節雑音の発症には咬合異常が大きく関与しているとの考えにより咬合診断にも重点を置き,特に咬頭嵌合位における顆頭位を客観的に評価するためのパラメータを考案した. 3.臨床症状に関する所見と顎機能診断システムから得られる所見に加え,顎関節の形態的情報を考慮する必要があることから本学歯学部放射線科の協力を得て顎関節断層X線写真およびMRIの撮影をルーチン化する体制を整えるとともに顎関節に関する形態・位置の診断基準を決定した.
|