研究課題/領域番号 |
05671630
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
大野 弘機 北海道医療大学, 歯学部歯科理工学講座, 教授 (70018430)
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研究分担者 |
遠藤 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (70168821)
荒木 吉馬 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (20005036)
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キーワード | 接着性レジン / 歯質 / 化学結合 / 光電子分光 |
研究概要 |
著者らは、牛歯エナメル質に4-METAレジンの薄膜を接着させ、水中浸漬後にレジンを強制的に剥離させ、剥離した接着界面(レンジ側)をESCAで分析したところ,Caに2つの化学状態(成分I、成分II)が存在することを見出した。一つはハイドロキシアパタイトの、他は4-METAと化学的に結合したCaに由来すると推定された。 本研究では、ヒトエナメル質と象牙質についても同様の現象が観察されるかどうかをESCAで検討した。ハイドロキシアパタイトの標準資料として、カラムクロマト用ハイドロキシアパタイトを用いた。また、フタル酸カルシウムについては、75℃でフタル酸を水に溶解させた後、水酸化カルシウムを添加し、合成した。沈殿物を水洗し、フタル酸カルシウムのみであることをX線回折で確認した。 水中浸漬後、界面で剥離した試験片について、接着界面のレンジ側をESCAで分析したところ、牛エナメル質と同様なCa 2pのスペクトル変化が得られた.Ca 2pスペクトルについて、ハイドロキシアパタイト、フタル酸カルシウム、フタル酸カルシウムとハイドロキシアパタイトの1:1混合物、接着界面から得たものを比較したところ、成分Iは、フタル酸カルシウムのCa 2pスペクトルに、成分IIは、ハイドロキシアパタイトのそれとピーク位置がほぼ一致した。また、フタル酸カルシウムとハイドロキシアパタイトの混合物と接着界面から得たスペクトルが近似しているところから、接着界面では、アパタイトのCaとトリメリット酸が反応し、フタル酸カルシウムに近い化学状態のCaが存在するものと考えられた。
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