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本研究の目的は、根面う蝕や歯頸部う蝕などの治療に対して、従来のリン酸などの酸処理を施さなくても象牙質と接着するボンディングシステムを開発し、その接着メカニズムを解明することである。
そこで、本年度は、昨年度に試作した101種のデンチンプライマー:Aプライマー(2-ヒドロキシエチルメタクリレート60重量部・蒸留水40重量部)、Bプライマー(Aプライマーに50種のアミノ酸0.5モル%それぞれ添加したプライマー)およびCプライマー(50種のBプライマーに合成したカルボキシル基を有するモノマー10重量部をそれぞれ添加したプライマー)を用いて、抜去牛歯象牙質に対する剪断接着強さ試験を行った。すなわち、各プライマーを象牙質面にそれぞれ30秒間処理し、15秒間エア-乾燥した後、試作した1液性ボンディング材をそれぞれ塗布し、30秒間光照射を行い、次いで可視光線重合型コンポジェットを充填し、試験体を作製し、24時間後に試験を行った。その結果、試作ボンディング材の場合、剪断接着強さは、Aプライマーで2.5MPa、50種のBプライマーで2.5〜6.0MPaの範囲であったのに対し、50種のCプライマーでは6.4〜10.8MPaの範囲となり、有意的に高い傾向を示した。このことは、カルボキシル基を有するモノマーをプライマー中に添加することが有効であることを示唆している。一方、50種のプライマーと試作ボンディング材の代りに市販1液性ボンディング材を用いて、同様の試験を行った結果、剪断接着強さは10.3〜13.6MPaの範囲となり、試作ボンディング材を用いた場合よりも高い価を示し、他のボンディング材を試作する必要性が生じた。
今後、破断後の接着強さ試験体のSEM観察を行い、接着のメカニズムを究明するとともに、高い接着強さを示したCプライマーについて、サーマルサイクリング、朝抜き有髄牛歯の引張接着強さ試験も行う予定である。
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