研究概要 |
In量を0,9,18(mass)%,Au量を0,10,20%とそれぞれ3水準ずつ変化させた9種のAg-Pd系合金(合金No.=In量/9+3×Au量/10+1とする)を溶製し、変色試験片,分極試験片,腐食減量試験片を1合金種につきそれぞれ6個ずつ鋳造した。ただし、In+Cu量を18%,Au+Ag量を58%とし,Pd量は20%,およびZn量は4%に一定とした。1.鏡面研磨した変色試験片の正反射光を含んだおよび含まない分光反射率をカラーアナライザーにより測定し、自作プログラムにより求めた正反射光のみの色は次のようであった。すなわち(1)メトリック明度L^*は、合金NO.順に平均値が76.08,76.31,74.97,75.63,75.13,73.74,74.78,74.86,73.43となり,In量が増加(Cu量が減少)するほど、またAu量が増加(Ag量が減少)するほど高度に有意に減少した。(2)メトリッククロマC_<ab>^*は同様に、11.71,12.69,15.12,11.43,13.10,15.93,11.77,13.86,16.84となり、In量が増加するほど、またAu量が増加するほど高度に有意に増加した。(3)メトリック色相角H_<ab>°は同様に、85.8,85.6,78.8,85.8,85.8,78.4,86.0,85.9,77.8となり、In量が18%のとき高度に有意に減少した。なお、(4)滑沢度Y〔s〕/Y〔t〕値は合金種間で有意の差がなく、全54試料の平均値と標準偏差は93.59(1.34)%であった。2.0.1%Na_2S溶液浸漬後に、(1)Y〔s〕/Y〔t〕値は、とくにIn量が9%のときに大きく低下した。例えばNO1合金が78.20(1.98%)であったのに対して、NO8合金は66.99(4.03)%であった。In量が等しいときには、Au量が減少するにつれ低下する傾向が観察された。また色差DELTAE_<ab>^*もIn量が9%のときに大きく、Au量の減少とともに増加する傾向が観察された。一方、(2)アノード分極曲線に対してはIn量よりもAu量の影響が大きく、NO8合金よりもNo.1合金の方が耐食性が劣っている傾向が観察された。3.1%NaCl溶液浸漬後には、Y〔s〕/Y〔t〕値は有意に低下せず、DELTAE_<ab>^*の全平均値も1未満で、ほとんど変色しなかった。
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