研究概要 |
鋳造により作製した電気化学的腐食試験片を用いて、カレントインタラプター法を応用することにより分極抵抗(Rp)を2種の腐食溶液(37℃の1%NaClおよび0.1%Na_2S水溶液)中で求め、続いてアノード分極を行うことにより、自然電位(RP),電流密度が10および100μA/cm^2を突破する電位(E_<10>およびE_<100>),300mVにおける電流密度,RPから300mVまでの電流密度の積分値(ICD1),RPからRP+350mVまでの電流密度の積分値(ICD2)を測定した。また,腐食減量試験片の質量を各腐食溶液浸漬前、および7日間浸漬ごとに計70日間浸漬後まで0.01mg単位で測定した。実験した合金は、In量を0,9,18(mass)%,Au量を0,10,20%とそれぞれ3水準ずつ変化させた9種のAg-Pd系合金(ただし、In+Cu量を18%,Au+Ag量を58%とし、Pd量は20%、およびZn量は4%に一定とした)で、1合金種につき繰返し3回ずつ以上の測定を行った。なお、合金No.=In量/9+3×Au量/10+1とした。主な結果は以下の通りである。 1.E_<10>(mV vs.SCE)は、(1)NaCl中では78(No.2合金)から337(No.9合金)の範囲となり、In量の効果も有意であったが、概ねAu量の増加とともに耐食性が向上した(2)Na_2S中では-770(No.2合金)から-490(No.9合金)の範囲となり、概ねAu量、In量の減少とともに腐食傾向が増大した。 2.ICD1(μAV/cm^2)は、(1)NaCl中では0.4(No.9合金)から544.6(No.2合金)の範囲となり、Au量の増加とともに耐食性が大きく向上したが、InとCuを等量含有するときには耐食性が低下した(2)Na_2S中では186.1(No.7合金)から737.6(No.1合金)の範囲となり、概ねAu量の減少とともに腐食傾向が増大したが、InとCuを等量含有するときにもその傾向がみられた。 3.70日間浸漬後の腐食減量(μg/cm^2)は、(1)NaCl中では20(No.9合金)から113(No.2合金)の範囲となり、ICD1の場合とほぼ同様の傾向が観察された(2)Na_2S中では-337(No.2合金)から405(No.3合金)の範囲となった。
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