研究概要 |
インジウム含有量を0,9,18(mass)%,金含有量を0,10,20%と3水準ずつ変化させた9種の銀-パラジウム系合金(ただし、銀と金の合計を58%,パラジウムを20%,銅とインジウムの合計を18%,亜鉛を4%一定とする)を用いて、1%NaClおよび0.1%Na_2S水溶液中で変色試験,電気化学的腐食試験,腐食減量試験を行った結果、この実験範囲内の合金について主に以下のことが明らかとなった。 1.合金の色は、銅の代わりにインジウムを配合すると、金含有量にかかわらず銅含有合金に比べて、明度がやや低下し、クロマが高く、やや赤みの増した黄色の色相に変化する、すなわち、少し金色を帯びた色調となる。なお、インジウム(および銅)含有量を同一に保ったまま金量を増加(銀量を減少)させても、明度が低下し、クロマが上昇するが、合金の色調に顕著な変化は生じない。 2.塩化ナトリウム中における耐変色性は良好であるが、硫化ナトリウム中においては程度の差はあるものの大きく変色する。インジウム(および銅)含有量を同一に保ったまま金量を増加(銀量を減少)させると耐変色性は向上する。また、金(および銀)含有量が同一でもインジウムと銅を等量含有させると、インジウムあるいは銅単独含有の場合に比べて耐変色性が大きく低下する。とくに後者の効果は著しく、58%Ag-20%Pd-18%(Cu or In)-4%Zn合金よりも38%Ag-20%Au-20%Pd-9%Cu-9%In-4%Zn合金の耐変色性は劣っている。 3.塩化ナトリウム中よりも硫化ナトリウム中の方において腐食を受けやすい傾向がある。インジウム(および銅)含有量を同一に保ったまま金量を増加(銀量を減少)させると耐食性は大きく向上する。また、金(および銀)含有量が同一でもインジウムと銅を等量含有させると、インジウムあるいは銅単独含有の場合に比べて耐食性が低下する。 4.塩化ナトリウム溶液中における耐食性と耐変色性の間には正の相関関係がある。
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