研究概要 |
本実験に先立って,マクロフィラー(以下MACF)の処理条件について再検討を行った。まず,粒径6mumの溶融石英を用い処理液(gamma-MPTS)濃度について調べた結果,0.5〜13%の範囲では,機械的強さは7%まで徐々に増加し,これ以上の濃度で一定となった。次に,処理濃度(1,5,9,13%)と熱処理条件の違い(50,70,90,110,130°C)による変化を調べた。この結果,1%では,この温度範囲で変化は生じないが,5%以上では,50〜90°Cで変化なく,110°C付近から機械的強さが低下し始め,特に高濃度でこの傾向が著しかった。以上の結果より,表面処理は9%のgamma-MPTS95%エタノール溶液で50°C2時間行い,エバポレータで溶媒を取り除いた後に,熱処理を50°C2時間行った。MACFとして,形状が球状,無定形の2種類(溶融石英,粒径5mum)を用い,ミクロフィラー(MICF)は,粒径0.04mumの球状石英を使用した。フィラーの混合は,表面処理前に行ったもの(前混合)と,表面処理は個別に行った後,混合したもの(後混合)の2種類の条件とし,更にMICFの添加率は0〜40%とした。この結果,圧縮強さについては,前混合の方が,後混合のものより大きかった。しかし,添加率による差も,MACFの形状による差も認められなかった。他方,間接引張強さでは,前混合のものが優れており,特に球状MACFを用いたもので,この傾向が大きかった。また,添加率が20〜40%と増加すると低下し,特に球状MACFを用いたものでこの傾向が著しかった。以上の結果は,繰り返し数や実験条件に検討の余地が多い。特に,MICFの添加率が増加すると,コンポジット化したときに粘性が急激に増加し混合が困難となるため,フィラー:コモノマー比を変化させたものについて検討する必要がある。この研究では,予備実験の結果から処理条件を決めたが,ハイブリッド型の処理条件による変化も検討する必要がある。 今後は,以上の課題を中心に研究を続けて行く予定である。
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