市販軟質裏装材のうち4種類の系(ポリオレフィン系、シリコーン系、フッ素樹脂系、アクリル系)に属する9種類の材料について物理・機械的試験を行なった結果、系の異なる材料はもとより、同系の材料でも物理・機械的性質が個々に異なり、中でもポリオレフィン系軟質裏装材は他の材料と比較して著しく大きな値を示し、市販軟質裏装材の規格基準の必要性が示唆された。 各材料の値を見ると、ポリオレフィン系とシリコーン系の常温重合型との比較では前者が伸びで約8倍、引張強度で9倍、25%低伸長応力で8倍の値を示した。シリコーン系の常温重合型と加熱重合型との比較では、後者が引裂強度に大きな値を示した。フッ素樹脂系の比較ではpolyphosphazeneを含有する「NOVUS」が全ての測定項目に大きな値を示した。アクリル系では常温重合型と加熱重合型とは概して後者が機械的性質の値は大きかった。 これら軟質裏装材の物理・機械的性質は、今後予定している変色の程度と物理的性質の経時的変化を調査するに際して貴重な基礎的データを与えてくれるものである。
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