平成5〜7年の3年間に、重合方法の異なる3種の義歯床用レジンで作製した、上下顎の局部床義歯(Kennedy I級1類ケース)の粘膜面部の重合直後の変形と、その後の経日的寸法変化を、三次元的に解析し、局部床義歯の立体的な寸法再現性を明らかにするとともに、さらにこのデータを応用して、これらの局部床義歯の適合性を考察することを目的として、本研究に着手した。 初年度の平成5年度には、以下に記す義歯の作製および測定を行った。 1.原模型(左右犬歯残存の上下顎模型)を試作した。 2.義歯の作製 (1)上下顎の原模型を印象採得後に、超硬質石こうで作業用模型を作製し、その模型粘膜面上に測定点を設定して原型とした。 (2)この原型上で、人口歯排列、歯肉形成を行い、蝋義歯を作製した。 (3)3種の義歯床用レジン(加熱重合型レジン、流し込み型レジン、マイクロ波重合型レジン)を用いて蝋義歯を重合し、上下顎の局部床義歯を作製した。 (4)義歯床は、床用レジンの種類ごとに各5床、上下顎で合計30床を作製した。 3.データの測定、記録 三次元デジタル座標測定機(XYZAX-M400、東京精密)を用いて、原型および義歯床粘膜面部上の測定点を、重合直後から4週間にわたり測定し、パーソナルコンピューターに記録した。 平成6、7年度は、パーソナルコンピューターを用いてデータ処理を行い、原型に対する上下顎の局部床義歯の寸法再現性を解析し、さらに三次元的な寸法変化の方向とその変化量を図示する。そして、データ分析および総括を行ったのちに、論文発表する予定である。
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