研究概要 |
前年度の接着力の結果からデンチンプライマー処理効果の優れていた水溶性N-(Hydroxyalkyl)acrylamide(N-HA)系モノマーすなわちN-methylolyacrylamide(MEAA),N-(2-hydroxyethyl)acylamide(EAA),N-(2,3-dihydroxypropyl)acrylamide(DAA),N-methylolmethacrylamide(MEMA),N-(2-hydroxyethyl)methacrylamide(EMA),N-(2,3-dihydroxypropyl)methacrylamide(DMA)を選択し、これらモノマーを含むデンチンプライマーを試作した。そして、10%マレイン酸溶液、10-3溶液、10%リン酸溶液で処理した象牙質への水中浸漬24時間後の接着力の測定を行った。接着力は酸処理時間すなわちCa脱灰量が増加しても一定であったが、デンチンプライマー無しやHEMA含有デンチンプライマー処理のものと比較して、N-HA含有デンチンプライマー処理の方が有意に高かった。特に、分子内に疎水基が少ないくacryl基を有するMEAAのデンチンプライマー処理効果は優れていた。光重合性はacrylamide系の方がmethacrylamide系より優れていたが、コラーゲン繊維への吸着性は水溶性のN-HAであれば分子構造に関わらずほんとんど同程度であった。したがって、これら接着力の差は光重合性の影響を大きくうけるものと考えられる。しかし、これらのデンチンプライマー処理効果も一部のボンディング剤にはやや減少する場合もあり、ボンディング剤成分の影響もさらに検討を加えなければならない。
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