研究概要 |
1)遺伝子導入実験:ヒト腎細胞癌にIL-2geneを導入すると、NK細胞、LAk細胞に対し感受性が高まるだけでなく、LAK細胞誘導能が備わることも明らかとなった。更に腎癌細胞に対するCTLの誘導に世界で初めて成功し、IL-2gene導入の有用性が証明された。(The Kurume Medical Journal,vol41,1994)。 2)各種癌細胞株の樹立:ヒト舌癌組織から舌癌細胞を、ヒト口唇粘膜から粘膜癌細胞を、上顎癌からはmetastasis由来の細胞株をそれぞれ樹立した、更にこれらの一部から癌細胞のクローン化にも成功した。 3)新規に樹立した口腔領域癌細胞に対する遺伝子導入:当初計画では、導入遺伝子としてIL-2geneのみを設定していたが最近の免疫学の発展からT-helper 1とT-helper 2の分化分岐点にIL-12がT-helper 1分化に決定的な役割を果たすことが判明したため現在クローン樹立したヒト舌癌細胞(UTC-1)にはIL-2geneを導入することにし、末梢血単核球からのCTL誘導能等を検討することにした。その結果、遺伝子を導入された癌細胞の分裂が抑制され、長期培養すると全ての癌細胞が死滅した。今後、IL-12遺伝子の二つのサブユニットのそれぞれにその遺伝子導入の効果を検討する予定である。以上、本研究は成功裏に進んでおり目標の癌ワクチン化療法の基礎構築に貢献するものと評価される。
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